The Moon Age Calendar >> Main >> Inquiry >> Moon FAQ >> Capture2  DrawUp 1998/11/14



MOON FAQ

 
このページでは、皆さんから戴いたご質問にお応えするページです。
メールによる文字だけの説明では、分かりにくいことなどをHTMLページでお伝えいています。
 
 地平の月が大きく見える
 
昇り来る月を見つけて、その大きさに驚くことがあります。
天高く昇ってしまうと普通の大きさなのに、同じ月とは思えないほど巨大に見えるのは何故でしょう?
 
かつて私も月の出の時にマイクロメーターを使って計ったことがあります。
その時の大きさは31分弱で、天頂に見えるときと全く同じでした。
 
の「月の大きさの違いについて」で触れたように、日々月と地球の距離は変わっていますので、
大きさを比較する場合には同じ日に地平線近くの時と天頂付近の時とで比べる必要があります。
 
理論的には地平付近の月に比べ天頂付近の月の方が地球半径分だけ近く、逆に大きく見えることになります。
(地心距離が最も近い時などに計測を行わない限り、その違いを捉えるのは難しいようです。)
ましてや肉眼で地平の月が大きく見えることはないはずです。
しかしいくら角度が同じでも、大きく見えるのは多くの人々の実感であり、どうして大きく見えるかが問われるのです。
 
この現象に対して非常に古くから様々な学者達が巧みな説明を付けてきましたが、
いずれも明確な説明がうち立てられていないと言うのが現状です。
 
一言でいってしまえば、人の目から入った情報に対し錯覚を起こしているのだと言われます
では、どのような理由で、この錯覚を起こしているのか様々な説をご紹介いたしましょう。
 

説名内容判定
屈折説地平の空気層の屈折により月が大きく見える。×:実測値は変わらない。
瞳孔散大説地平では光線が弱められ、瞳孔が散大し大きく見える。
水晶体扁平説天頂を向くと眼球の水晶体が薄くなるため、小さく見える。
比較説地平の小さく見える木や家と比較して、大きく見える。
対比説天頂の月は青黒い夜空との対比効果で小さく見える。
視線説視線を上げて見ると小さく見える。
地平視角説地平のものに対する視角が、天頂方向での視角より大きくなるため。
周辺視説天頂の月は地平より感度の良くない周辺視になりやすい。
介在説地平には月との間に様々なものがあり、距離感が増し大きく見える。
10遠景説靄(もや)とか薄明のため地平の月は遠く感じ、大きく見える。
11天空形状説天空の形を扁平に認識しているため、放射距離の大きい地平の月が大きく見える。

1に関しては除外するとしても、果たしてどれが正しいのでしょう?
最近の天文書などでは、比較説を採用しているところが多いようですが、明確に立証されているとは言い切れません。
 
一つここで、真実が見えてきそうな事実があります。
不幸にも生まれつき片方の目が見えない人は、あまり地平拡大を感じないと言われます。
また両眼が見える人でも、片目をつぶって見ることによって、巨大に見えた月が次第に普通に見えてくると言います。
 
国内で唯一の地平拡大についての著書では、以下のように綴られています。
 
1:
 
 
幾何学的錯視
地平の方向に物体が奥行き方向に並んでいると大きく見える。
それらの左右の広がりも拡大して見える副次的要因となる。
 
2:
 
 
 
地平の月を見る場合の体位は、頭は正常に直立し、眼位は第一眼位である。
この姿勢で天頂の月を見るとき、頭位と眼位は相補的に変化する。
このような姿勢で凝視するから天頂の月が小さく見える。
地平の月を見る姿勢を90度傾け、仰臥視の姿勢をとると天頂の月はやや大きくなる。
 
3:
 
大きさの知覚には、知、情、意が働くが、知以外の情意機能も働く。
例えば初心者、女性、芸術家肌の人は、二倍以上の錯視率を持つ。


幾何学的錯視(手前の△の方が小さく見える)
 
 
一方を隠しながら交互に見比べるとわずかですが地平拡大が感じられます。
地上風景・月の大きさは全く同じです。空の色は単色塗りにしてあります。

 
人は暗がりで見た泥棒の身長を大きく証言したり、また古代の壁画などでは国を治めた王を大きく描いています。
これらは情意機能が認知機能に影響を与えている一つの証拠だと言われます。
 
昇る満月の大きさは、現代の脳神経生理学の世界で解かれようとしているようです。